お仕事について色々かんがえてみた

首都圏に住む子育て中の働く主婦(社労士有資格者)のブログ

育児休業と労働者の権利と野望

先日の某パタハラ告発ツイートから余震が収まりませんね。

転勤がパタハラかどうかに関しては安定した雇用を奪ったとは言い難い様に見受けられるので、あのご夫婦の子の福祉とは切り分けて考えないといけないとは思います。これを一まとめに考えるからおかしな話になる。これは私も混同しがちなのですが、雇用機会均等室に質問の電話をしたら分かります。雇用機会の均等さを目指す彼らは「雇用者の行為が雇用の機会を阻害しているかどうか」という観点で見るのであって「子の育児の時間をより長く確保したい」「子の育児の為にこの様な阻害をされている」という主張をする場ではありません。それは子の福祉の管轄ではありますが、雇用機会に関連したトピックではないからです。安定した雇用の実現と言う観点からすると少しでも早く育児休業を終えて復帰出来るのが望ましいのです。子どもの為に会社が配慮しなくてはいけないと言う観点で動いてくれる機関はないので、そこには注意が必要です。

かと言って既に認められている労働者が権利を行使した事を悪し様に言うのはおかしい。子どもが生まれる度に1年の育児休業を取得する男性が窓際業務に追いやられたというトピックに関して思うところがあったとしても、ここで彼の行使した権利を否定するのは違います。そこでとんでもなく苦心した人事担当者の気持ちが痛いほど分かろうとも、正当な権利を行使しただけの労働者を罰してはいけない。それなら、育児休業制度が出産当事者以外にも認められるとなった法改正の際に反論していなくてはいけなかったのです。

育児保護制度後進国アメリカでビル&メリンダ・ゲイツ財団が52週の育児休業を認めたところ、許容範囲を超える取得者が出て3年で27週に減じられました。一年の育児休業が発生すると、埋め合わせと復帰後の配慮で雇用者にも負担が大きいのです。それでもアメリカと違い外部委託の手段の少ない日本においては出産当事者の育児休業1年は妥当だと感じます。それは保護したい権利なのですが、その配偶者に同じだけの権利を認めるのは時期尚早だったのではないのでしょうか。ぶっちゃけ、首と腰が据わったら夫の助けなんて必要ない気がします。半年で良かったのではないでしょうか。要するにきちんと議論もせずにそう制度を変えた政府の見通しの悪さこそが責められるべきです。

私は二人の子どもを産む際の産前産後の時期には夫の実家に世話になって、義母に助けて貰っていました。周囲の助けを求められないのなら、夫なりが三ヶ月程度の育児休業を取得するのは素晴らしい事だと思います。ですが、雇用機会という観点ではやはり出産当事者以外の休業は1か月が妥当、最長で介護休業と同じ93日であればいい気がしますね。

いずれにせよ、権利なので既に認めてしまったものを否定するのは駄目です。難しい面もあると思いますが、権利を行使した人に直接害するのでは無く、制度を何とかする為に動くしかないのです。