お仕事について色々かんがえてみた

首都圏に住む子育て中の働く主婦(社労士有資格者)のブログ

年金の本当の事、もう隠さなくてもいいのでは

老後に2000万円問題、色んな識者の方々の解説を読んでいると本当に勉強になります。何というか様々な視点がありますね。私の周囲だけかも知れませんが(年度更新と算定が重なる繁忙期なのもある)、あまりこの話題が事務所内で上がることがないのです。社労士界隈ではもう今更と思ってしまう様なネタだし、何よりももう金融庁ダイマがひどい報告書が出たなあとしか思わなかったので、ここまで騒動になったのは新鮮な驚きでした。

お前の観点なんて知るかと思われるでしょうが、まだ手帳はみんなオレンジ色で厚生年金の被保険者が証書を持って転職していた頃からこの業界にいるので、普段は年金を意識しない一般の方とは観点がやはり違います。そんな事でマウントとりたい気持ちなんて微塵もないので、ちょっとこういう感じなんですということを言いたい増田の独り言も読んで頂けると嬉しい。

これは個人的な観点ですが、私が違和感を覚えたのはあの報告書の以下の点です。

金融庁の発表した資料であることがはっきり分かる(財務省厚労省を馬鹿にしているのを日々感じているw)

・老後を95歳までと定義している。

・「無職の」65歳と明記している。

・夫婦で年金を受給している世帯の設定である。

・FPさんの大好きなNISAとイデコを推奨して終わっている。

なので、読んだ瞬間にこれは財務省の嫌味まじりの厚労省へのマウンティングで、いつもの保険商品のダイマだと思って半笑いになってました。だって、総務省の発表した統計見ても95歳以上の人口割合って0.1%(男性)なんですよ?そして65歳以上の就業人口ももう10%を超えて右肩上がりの状況。更に在職老齢年金の支給調整もなくなるのだから、就業率は更に上がると考えた方がいいでしょう。独身世帯を無視しているし、これで使い物になる平均値が本当に出ると思いますか?不安を煽って金融商品を売りつける手口にしか見えません。

FPは取って置いた方がいいと思っているのでそのうちに取る予定ですが、FPを名乗る方の家計診断なんかが毎回NISAとイデコのお勧めで終わるのに違和感をどうにも拭えないんですよね。家計をちゃんと管理出来てない様な方に本当に必要な金融商品が目利き出来る筈ないので。社労士は今のリアルな労働者の懐具合をどうしても知る立場にいるので、社会保険料控除だけで苦しむ労働者さんの痛みを考えてしまって、どうしても上から目線に感じてしまう。

なので、金融庁に肩入れする報告書なんて一般の家庭に配慮したものではないですよね。真面目に捉えると損しますよ。

例えば年金は、ざっくり現在50歳以下の人間については夫婦二人世帯でも受給額の計算式は変わります。60歳以上65歳以下の配偶者を扶養している時に出る加給年金が65歳以上になると差額が振替加算になりますが、それも今の現役世代の老後にはなりません。何故かと言うと国民年金が強制加入じゃない時期がなかったので、60歳まで全うに納付していれば65歳から満額受給になるから満額でないのは本人の責任なのですよ。空白期間が発生してもやむを得なかった専業主婦への救済措置である振り替え加算はもうされません。

今回の報告書の試算はかなり恵まれた現在の年金受給者を設定して、更に0.1%でしかない95歳以上まで独立した生活を営める(85歳以上の方の被要支援・要介護の割合は6割を超える)特殊な計算がされてます。今の生活を維持したかったら、NISAとイデコを始めなさいと金融庁はごり押ししたい。ふるさと納税が成功した総務省の鼻を明かしたい(私はここが財務省のマウント行為の火種の一つに感じました)ただし、これが今回の報告書の肝だと思うのですが、リタイア後にこの国の老齢年金だけで現役世代と変わらない生活するのは無理です。これは真実です。副業が解禁されたのも、定年年齢が上がっていくのも、パート者の厚生年金加入枠が広がるのも、基本的にこの事実に備えたものだと考えて使えるものは使いましょう。

分かります。何も考えないでただ働くだけでは普通に生きていけなくなった我々の憤りはどこにぶつけたらいいのか、本当に悔しい。とんでもなく苦労しながら子どもを必死で育てて、それで老後もこんなに心配しないといけない。せめて年金受給者はもう少し現役世代に対して遠慮を持って欲しい。この年金という制度があるから、彼らは子世代の顔色を窺って生きなくてもいいのだというありがたみを理解して欲しい。もっとも、だから彼らの面倒を見ないでもいいと思えば、必要なのは住み分けなのかなという気持ちにもなりますが。

年金は老後の生活費の核として考えても大丈夫です。ですが、それで国家が保障しないといけないのは生活保護憲法第25条)レベルまで。自宅で暮らしたい、人並みの生活がしたい、そういった生活への保障は自分達で努力が必要です。誰に喚いても救済はされません。これは年金のリアル。

私はその辺の社労士でしかないので、この視点も偏ったものだと思います。残念ながら弁護士資格までは脳みそも年齢も届かないので連携出来る弁護士さんといつか出会えたらいいな。でも、金融庁にはご用心。厚労省ももう変に隠そうとしない方がいい。この記事に目を留めてくれた人がこの先の資金管理に悩まない道しるべを無事に手に入れられる事をねがって買い出しに行って参りますw